研究報告「公共トイレにおける清掃員の性別意識調査」のご報告

一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会では、昨今のジェンダー意識の変化や、清掃員の負担軽減を考え、「公共トイレにおける清掃員の性別意識調査」の研究を行いました。本研究結果を書いたPDFデータ2種を公開します(どなたでもダウンロードできます)。各清掃現場での人事採用や、清掃員配置・清掃員の働き方改革にお役立ていただければ幸いです(なお、記事掲載の場合は、クレジット掲載をお願いします)。

■1、研究概要

❖テーマ:公共トイレにおける清掃員の性別意識調査
  男性トイレを女性清掃員が清掃をしていることが多いことを発端に、現状把握を行い、
  今後のトイレ清掃員とトイレ使用者の、健全で快適な作業環境のあり方の視点を求めました。
❖研究期間:2023年4月1日~2025年3月31日
 (調査協力企業8社への調査は、2023年4月24日(月)~5月31日(水)に実施)
❖研究者
  ❐比地岡貴世
    株式会社クリーンシステム研究所 月刊「ビルクリーニング」編集長
    (一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会 個人研究会員)
  ❐白倉正子
    一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会 副代表幹事)
   (アントイレプランナー代表)
  ❐坂上逸樹
   株式会社クリーンシステム研究所 代表取締役
    (一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会 個人研究会員)
  ❐中森秀二
    一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会 代表幹事
❖主な内容
  ❐トイレ清掃を担当する男女比の割合について
  ❐異性のレストルームに入る際の対応手段について
  ❐異性のトイレ清掃を実施させる企業の意図について
  ❐トイレの使用者の視点や抵抗感  など

■2、研究結果の概要(抜粋)

 本調査は、都内のビルメンテナンス会社の8社にヒヤリングを行った結果をまとめたものとなる。研究の対象としては全国のビルメンテナンス従事者へアンケートを実施したいと思っており、本結果はその準備段階として行った。そのために都内の大手企業に偏っており、都心部以外の小規模事業者の現状とは異なるかもしれない。しかし現状を探るためのヒントやエッセンスは充分含まれていると思われる。
 結果は数値化できるものと、それだけでは表現しきれない各現場の悩みや状況が浮き彫りとなった。ここでは代表的なコメントや調査目的に関わるキーワードを中心に紹介する。よってできれば全体を読んで、この課題の奥深さを把握されることをお勧めしたい。

 Q1:調査対象企業の属性(調査企業8社平均)
   ・日常清掃の物件数…約170件
   ・清掃従事者の性別の比率…男性4:女性6
   ・トイレ清掃従事者の性別の比率…男性2:女性8
 Q2:トイレ清掃の現状
   ①トイレ清掃の担当が女性中心の理由
    ・昔ながらのイメージ
    ・男性清掃員のトイレ清掃に対する精神的抵抗が大きい
    ・女性なら男性トイレにも入りやすいから 
    ・女性しか入れない場所も多い現場もある(例:産婦人科) 他
   ②男性にもトイレ清掃を任せている現場は、なぜなのか?
    ・女性清掃員だけでは人数不足のため
    ・女性清掃員が抱く異性トイレ入室に対する恐怖心への対処
    ・早朝など清掃時間を変えればできると判明
    ・ビルオーナーの理解や指示 他
   ③トイレ清掃従事者の性別へのクレームの有無は?
    ・ない…3件
    ・利用者からのクレーム…3件
    ・現場清掃員からのクレーム…2件 他
   ④③のクレームの具体的な内容は?
    ・利用者より…外国人からの違和感の訴え、性的不安を感じた
    ・現場清掃員より…異性トイレへの恐怖心がある 他
   ⑤トイレ清掃をする際に行っている対応は?(複数回答あり)
    ・作業表示板に作業者の性別を明記…8件
    ・作業時間をトイレ開放時間とかぶせない…7件
    ・同性による清掃員を配置…7名 他
    ・清掃作業中の使用者の出入りを禁止…2件 他
   ⑥トイレ清掃において性別ごとに振り分ける場合の負担とは?
    ・異性清掃の表示と時間指定を示した上で使用者に選択を任せる
    ・男性清掃員の採用・教育・理解を深めること
    ・そもそも人材不足のため、まずは人材確保
    ・トイレ使用者の封鎖が楽だが、現実には難しい
    ・SDGsの普及(男女平等)などの世間の価値観の変化に期待 他
 ●トイレ使用者の視点
    ・異性清掃者に対する抵抗感は、女性の方が8割と大きい
    ・異性清掃員と遭遇した抵抗理由は「なんとなく不安」「排泄音が聞かれそう」など
    ・今後の清掃員の性別に対しては「どちらでも良い」が男女とも半数を超えた
     2番目に「男性がすべきだ・男性が望ましい」が多かった 他
 ●参考…自由意見で気になったコメントや指摘
    ・外国人からの指摘が目立つ(海外では同性清掃が一般的のため)
    ・男性がトイレ清掃をしてもいいのではないか?
    ・清掃のロボット化や、AIの採用による効率化に期待
    ・清掃員や使用者の負担や抵抗感を減らす努力を今後も続けたい 他
 ●結論・調査員の思い(白倉)
    ・調査当初の予想より、ジェンダー意識が変わっており、変化を感じた
    ・深刻な人材不足が、足かせになっていることも、浮き彫りになった
    ・女性の性犯罪への不安や、男性が感じる異性への誤解への懸念も無視できない
    ・本調査が、今後の人材配置や利用者への理解深化のきっかけになれば幸いだ 他 

■3、研究結果データ(どなたでもダウンロードできます)

 以下の2種類があります。
A:研究報告
  https://www.toiletmaintenance.org/wp-content/uploads/2025/04/toilet-matome-bm.pdf
  引用の際には、以下4の連絡先にご連絡の上、以下の通りクレジットの記載をお願いします。
  …引用:公共トイレにおける清掃員の性別意識調査
     日本トイレ協会メンテナンス研究会&(株)クリーンシステム科学研究所/2025年
B:本研究の記事:「月刊ビルクリーニング」2023年12月号掲載(16P)
 https://www.toiletmaintenance.org/wp-content/uploads/2025/04/202312-bc-426-1.pdf
  引用の際には、以下に連絡の上、以下のクレジットを記載願います。
   …引用:「月刊ビルクリーニング」2023年12月特集記事(P28~40)

■4、本件に関する問い合わせ先

本研究に関するお問い合わせは、以下にお願いします。
 …一般社団法人日本トイレ協会 メンテナンス研究会 公式メール  
   jimu●toiletmaintenance.org (●に@を入れて直してご送付ください)

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