トイレ博物館

19世紀末の華麗な便器は機能的だった


引きつづき、オーストリアにあるラウフェン・トイレ博物館の収蔵品をご紹介します。水洗トイレの発達とともに開花した便器と小便器の数々。今日のお手本となるさまざまなヒントが詰まっていて、まさに古きを訪ねて新しきを知る思いがしたものです。
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小さくて丸いがデザインのポイント

ラウフェントイレ博物館に展示されている、色鮮やかな装飾が施された絢爛豪華な便器洗面器が製造された19世紀末は、長年おまる文化に支えられてきたヨーロッパで、水洗トイレが飛躍的に発達した時期でもあります。それまでの臭いものには蓋をして、においは香水でごまかすといった苦労から開放されて、堂々とトイレが表舞台に立つようになったとき、世紀末の華麗な装飾文化の影響を受けて、芸術品としてトイレ文化の華を咲かせたというわけです。それが、画一化され味気ない今日のスタイルになってしまったのは何故でしょうか。特に小便器は、大きくて四角い今日の小便器と、ラウフェン・トイレ博物館に展示されたものを比べると、とても一世紀をかけて進歩したとは言えない気分になります。デザイン的な貧弱さは言うに及ばず、機能的にも尿はね解消の問題は逆戻りの感です。
ラウフェン・トイレ博物館所蔵の便器、小便器、ビデの数々。水洗トイレの発達と華麗な世紀末芸術とがマッチして作られた便器は、トイレ文化の黄金期といえそう。機能的にも現代にはない繊細な配慮がみられる。
尿はね、尿こぼれは悪臭の原因にもなり、その尿はね、尿こぼれの少ない形態の小便器が、快適トイレのポイントになります。19世紀末につくられた小便器の丸くカーブを描いた背面と、受け口のように前面がせり出した形態は、そのポイントを十分におさえています。緊張感のあるコンパクトな設計(人は小さな口のビンには細心の注意を払って水を注ぐものです)、そして”的マーク”のように絵付けされた花や蝶、鳥などの模様にも遊び心が伝わってくるようで、楽しい発見の連続の旅でした。
ラウフェン トイレ博物館長のフリッツ リスカ氏は素敵な民族衣装で案内してくれた。
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