このウェブサイトの企画にあたって
メンテナンス研究会の母体となる日本トイレ協会は、1980年代後半の第1次トイレブームともいうべき時代に先駆けて、公共トイレの環境改善を考える有志の集まりとして結成されました。坂本菜子さんもその中心メンバーのお一人として活躍されてきました。
坂本さんの視線は常に「コンフォート」、快適なトイレづくりへの想いはその設計・デザインや使いやすさだけではなく、それを持続的に維持するためのメンテナンスの重要性へと向かいます。それに共感し、より深くこれを研究しようという会員が自然発生的に坂本さんの周りに集まり、1992年にメンテナンス研究会は誕生しました。
当サイトには、今では当たり前になっている問題意識や改善のための提言など、現在の「世界に誇れる日本のトイレ」に繋がる数多くの内容が収録されています。メンテナンス研究会では30周年記念事業の一つとして、これら坂本さんの活動の貴重な足跡をより多くの皆様の目に触れやすいようにウェブサイトとして残すことにいたしました。ご高覧いただければ幸いです。
坂本さんの視線は常に「コンフォート」、快適なトイレづくりへの想いはその設計・デザインや使いやすさだけではなく、それを持続的に維持するためのメンテナンスの重要性へと向かいます。それに共感し、より深くこれを研究しようという会員が自然発生的に坂本さんの周りに集まり、1992年にメンテナンス研究会は誕生しました。
当サイトには、今では当たり前になっている問題意識や改善のための提言など、現在の「世界に誇れる日本のトイレ」に繋がる数多くの内容が収録されています。メンテナンス研究会では30周年記念事業の一つとして、これら坂本さんの活動の貴重な足跡をより多くの皆様の目に触れやすいようにウェブサイトとして残すことにいたしました。ご高覧いただければ幸いです。
一般社団法人日本トイレ協会
メンテナンス研究会
メンテナンス研究会
このウェブサイトについて
ふりかえってみれば、コンフォートスタイリストの肩書きを名乗って活動を始めたのは昭和60年頃の事。コンフォート(快適)どころか最も不快な場所になってしまっているトイレをなんとかならないものか。公共のみならず、オフィスや家庭においても。こうした疑問が私の活動の出発点になりました。現在では、暮らしや環境に合わせメンテナンス性にも配慮されたコンフォートスペース(快適空間)としてのトイレが、私たちの身の回りに多く存在しています。
このウェブサイトは、世界や日本の各地で出会った水まわりとメンテナンス性に配慮した先人たちの知恵やものの考え方をまとめた2冊の本から、改めて抜粋した記事を掲載しています。当時の記録ではありますが、これからも変わり続ける日本のトイレの未来を考えるうえで、なんらかのヒントになれば幸いです。
坂本菜子
Toilet travelogue
世界のトイレグラフティ
世界のトイレグラフティ
世界や日本各地で出会ったさまざまな水まわりを、出来るだけコンフォート(快適)にグラフィカルにお伝えしたいと思いまとめたのが「世界のトイレグラフィティ」です。
欧米の水まわりデザインにみられる伝統的な機能美やユーモア性、さらに、メンテナンス性にも配慮した先人の知恵には学ぶべき点が非常に多くあります。また、アジアでは習慣や文化、自然環境を水まわりの中にも十分取り込んでる点には、歴史の流れと民族性の大らかさを感じたものでした。そして、日本の厠の持つ昔ながらの風流な生活の知恵や、日本独自の美意識を現代に活かしているトイレにも出合いました。これらは、単なる用足し空間ではなく、住み手の個性や暮らしや環境に合わせたコンフォートスペース(快適空間)としてのトイレです。
このような多くの出会いの中で、特に印象的だったのが、アメリカの高齢者施設、人生の“先輩”達が集うシニアハウスでした。そこでは「老いの美学」がバスルームにも見事に表現され、おしゃれなシニア達の個性豊かな暮らしぶりに「豊かな老い」を垣間見ることが出来ました。
ヨーロッパのトイレ博物館(ラウフェントイレ博物館)のコレクションは、19世紀末の華麗な伝統美を表現しながらも、“水の心”を知り尽くした機能美も兼ね備えていた点には敬服しました。一方、パリで見かけた便座アート展での、フランスのアーティストの感性が生んだ自由で柔軟な発想は、日本の水まわりデザインに多くのことを教えてくれるでしょう。
先人達の知恵やものの考え方は “人”と“もの”と“水”との関わり を、私に改めて教えてくれました。世界のトイレ文化にみる知恵とヒントを楽しみながら、トイレに親しんでいただければと思います。(1998年)
欧米の水まわりデザインにみられる伝統的な機能美やユーモア性、さらに、メンテナンス性にも配慮した先人の知恵には学ぶべき点が非常に多くあります。また、アジアでは習慣や文化、自然環境を水まわりの中にも十分取り込んでる点には、歴史の流れと民族性の大らかさを感じたものでした。そして、日本の厠の持つ昔ながらの風流な生活の知恵や、日本独自の美意識を現代に活かしているトイレにも出合いました。これらは、単なる用足し空間ではなく、住み手の個性や暮らしや環境に合わせたコンフォートスペース(快適空間)としてのトイレです。
このような多くの出会いの中で、特に印象的だったのが、アメリカの高齢者施設、人生の“先輩”達が集うシニアハウスでした。そこでは「老いの美学」がバスルームにも見事に表現され、おしゃれなシニア達の個性豊かな暮らしぶりに「豊かな老い」を垣間見ることが出来ました。
ヨーロッパのトイレ博物館(ラウフェントイレ博物館)のコレクションは、19世紀末の華麗な伝統美を表現しながらも、“水の心”を知り尽くした機能美も兼ね備えていた点には敬服しました。一方、パリで見かけた便座アート展での、フランスのアーティストの感性が生んだ自由で柔軟な発想は、日本の水まわりデザインに多くのことを教えてくれるでしょう。
先人達の知恵やものの考え方は “人”と“もの”と“水”との関わり を、私に改めて教えてくれました。世界のトイレ文化にみる知恵とヒントを楽しみながら、トイレに親しんでいただければと思います。(1998年)
出典
世界のトイレグラフティ
著者 : 坂本菜子
出版社 : 株式会社 オーム社
発売日 : 1998/1/20
世界のトイレグラフティ
著者 : 坂本菜子
出版社 : 株式会社 オーム社
発売日 : 1998/1/20
Design & Maintenance
トイレのデザインとメンテナンス
トイレのデザインとメンテナンス
私の活動である「コンフォートスタイリスト」の語源になったのは、英語で「公共トイレ」を意味する「コンフォートステーション」という言葉です。コンフォート(快適)とは、ほど遠い場所になってしまっているトイレをなんとかしたいという思いが、活動の出発点になりました。トイレをはじめとするあらゆる生活空間を、より快適にするための具体的な方法論やアイディアを助言し、提案を行う。要約すればこれが「コンフォートスタイリング」であり「コンフォートスタイリスト」の仕事です。
十年前、「4K」と伝われたトイレも少しずつ快適になり、公共トイレをはじめとするオフィス・デパート・駅のトイレの変革が行なわれ、デザインにおいても力が注がれてきました。その中で、オフイスのトイレはどうでしょうか。最先端のビジネス機能を備えた「インテリジェントビル」や、自然光と緑をふんだんに取り入れた「アメニティオフィス」がつくられ、「働く人にとって快適なトイレづくり」を考えはじめた企業もでてきましたが、一般的には、まだまだトイレよりOA機器やインテリア空間などの方が優先されがちです。
トイレは、それぞれの環境に適していることや、使い勝手の良さや、その機能に合ったつくられ方が必要であり、強いては、清潔に保つためのメンテナンスも重要なポイントになります。日本トイレ協会の中にはメンテナンス研究会も発足し、熱心な研究も行なわれています。快適なオフィストイレのためのデザインや、その基本となるメンテナンスの利便性について、具体的に考えていきたいと思います。(1998年)
出典
トイレのデザインとメンテナンス
著者 : 坂本菜子
出版社 : 株式会社 オーム社
発売日 : 1998/1/20
トイレのデザインとメンテナンス
著者 : 坂本菜子
出版社 : 株式会社 オーム社
発売日 : 1998/1/20
著者紹介